映画「FLIRT/フラート」は、1997年の3月1日に劇場公開された
ハル・ハートリー監督による群像ドラマです。
ミュージックビデオや舞台の演出を手掛けている映像作家によって、
1995年にアメリカとドイツ、日本の3カ国で合同制作されました。
ストーリー紹介(ネタバレなし)
1993年2月のニューヨークでは、倦怠期のカップルが言い争いをしていました。
ビルは、3時間後に飛行機でパリへと旅立つ恋人のエミリーを引き留めようとします。
その一方で、夫のあるマーガレットと密かに関係を続けていて、
彼女への想いを断ち切ることが出来ません。
ふたりの間で揺れ動くビルに、思わぬ事件が訪れます。
1994年のベルリンでは、ヨハンと彼のパートナーであるドワイトが同棲生活を送っていました。
ドワイトは、仕事で3か月ほどニューヨークに行くヨハンを車で見送ります。
ヨハンを愛していながらも妻のあるヴァーナーにも未練たらたらのドワイトは、
決断を迫られることになります。
1995年3月の東京では、ミホが、
午後7時の飛行機でロサンゼルスへと旅立つ恋人のハルを見送るために車を探していました。
数多くの男性たちの間を渡り歩いていながらも、
たったひとりの男性への想いを貫くために、
ミホは街をさまよい歩いていくのでした。
映画を見た個人的感想
ニューヨーク・ベルリン・東京と
世界的に有名な3つの都市を舞台にして巻き起こる
3つの悲喜こもごもの物語が映し出される
オムニバス形式のストーリー展開には惹き込まれていきました。
それぞれが全く同じシチュエーションながらも、
登場人物の設定によって異なったクライマックスへとたどり着くところも
斬新な味わいがあります。
すれ違いばかりでお互いの気持ちを上手く届けることが出来ない
恋人たちのほろ苦い想いが伝わってきました。
恋愛に対する価値観や考え方が
生まれ育った環境によってまるっきりバラバラなのが面白かったです。
その一方ではいつの時代どこの場所でも繰り返されていく
男と女の泣き笑いには心温まるものがありました。
国境を越えたキャスティング
ハル・ハートリー監督が、
自らのパートナーである二階堂美穂を迎えて制作したこともあり、
ふたりのプライベートでの仲睦まじい様子が垣間見えるようで微笑ましかったです。
国境を超えたラインナップが魅力になり、
日本からは二階堂の他にも1989年にジム・ジャームッシュ監督によって発表された
ロードムービー「ミステリー・トレイン」で世界的な注目を集めた
永瀬正敏がキャスティングされているのが見所になります。
タイトル通りにフラート(いい加減で浮気者)なキャラクターたちにも
何処か憎めないものがあり、いつしか不思議な愛着が湧いていきます。
過去のしがらみや現在の迷いを振り切って、
愛する人の待つ未来へと走っていく姿が感動的でした。
まとめ
誰しもが異性とのコミュニケーションの中で1度は遭遇するであろう、
気まずいシチュエーションには共感できるはずです。
夫婦の在り方や恋人との倦怠期に思い悩んでいる人や、
気になっている相手に今一歩踏み込んでいけない人にお勧めの1本です。
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