「ゴジラ」という言葉を聞くと想像するのが、「怪獣と怪獣が街中を破壊しながら派手にドンパチバトルする!」といった、子供が喜びそうなアクション映画。
しかしこのシン・ゴジラ、怪獣映画の皮を被った、非常にリアリティーある政治映画でもあり災害シミュレーション映画でもあったのです!
目次
ゴジラが姿を現し進化していくと共に観てるこちらの恐怖感もみるみる増大する!
まず最初にゴジラが陸上に姿を現した時、その姿は何というか巨大なツチノコみたいな、グロテスクではあるんですけど目なんかもクリッとしてて「あれ、これがゴジラ?なんか思ってたのと違うし案外可愛いな…」くらいの印象なんです。
これなら簡単にやっつけれそうだな、くらいの。
そうしてホッとしてるのも束の間、このゴジラ、突然二足で立ち上がり始め、表情もみるみる厳つく変化し、最終的にには超巨大化して陸軍の総攻撃にもビクともせず、ひたすらに東京の街を焼き尽くす。
もうここまで来る頃には見ていて絶望感しかありませんでした。
最初のあの楽観的な気分がはるか昔のような…。
でもこの観てる者の心境をゴジラの進化と共に変化させる演出こそが、シン・ゴジラの大きな魅力の一つであると思いました。
ゴジラによって翻弄される政治家達のリアルなやりとりと役者陣の演技力!
ゴジラの魅力について語ってきましたが、僕はこの物語の主人公はやはり、長谷川博己演じる矢口蘭堂を始めとした政治家達であると思います。
だいたいのテレビドラマや映画での政治家の扱われ方は、金に汚い自らの名誉や保身のためにしか行動しない卑しい連中として描かれがちですが、このシン・ゴジラでは、とにかく日本の危機を守るために皆が一丸となってゴジラ撃退に尽力するのです。
指令伝達の手続き等のリアルな煩わしさを描きながらも、みな最後まで絶対にあきらめない。
そんな姿勢を見て政治家に胸を熱くしたのは様々な作品を見てきたけど今回が初めての経験かもしれません。
特に、やはり主人公 矢口蘭堂の、静かなる熱量と正義感、その内に秘めた怒りがゴジラが街を焼き尽くしていく様を眺めてたまらず激昂するシーンには思わず涙が溢れました。
犠牲を負いながらも手にした勝利。しかし…!?
数多くの犠牲者を出しながらも、政治家や各専門家らの知識と技術の結集によって最後はなんとかゴジラを凍結させることに成功します。
しかし、それはあくまでも「凍結」に過ぎません。
完全に殲滅するには更なる研究をしなければいけません。
まだまだ、小休止といった状態です。
そこに加えて、僕が見ていてただならぬ恐怖を感じたのは、エンドロールに入る前の最後の最後のカット、凍結されたゴジラの尻尾が大きく映し出されるんですが、一時停止してよくよく見てみると、何と無数の翼の生えた人形の生命体らしきものがいまにも飛び立とうとしているではありませんか…!
これは更なる進化の兆候なのでしょうか?
その後の展開を想像させる大好きなワンカットです。
まとめ
ゴジラを単なる怪獣のドンパチ映画だと思って手を伸ばしていない人にこそ、是非とも見ていただきたい作品です。
僕はこのシン・ゴジラを観て、ゴジラに対するイメージが180度変わりました。
大人こそ楽しめる作品なんです。
出演してる役者陣もみな確かな実力のあるベテランが総出で格闘しているので説得力があります!
とても見応えある120分でした!