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警察官が主人公といえば、

  • ド派手でシリアスな事件
  • 謎のダイイングメッセージ
  • 警察をあざ笑うかのように残された挑発的な遺留物
  • 超人的で残忍な犯人と知恵比べ

などといった作品がミステリーなどではよく見られます。

 

しかし、安東能明の作品は

組織の中で悩み生きる一人の人間としての

警察官が主人公です。

 

従来の刑事と比べると、

良くも悪くも人間臭く、

出世家族のことで大いに悩んでいます。

しかしだからと言って人情の物語ではなく、

警察小説というにふさわしい硬質な物語です。

 

また続編の「境界捜査」とともに

土曜ワイド劇場でドラマにもなっています。

 

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一風変わった警察小説「聖域捜査」

主人公結城は警視庁生活安全部の

特別捜査隊に班長として所属しています。

 

捜査一課に憧れていながら、

若き日々のやる気がありすぎるゆえの立ち回りにより、

所轄を転々としてきた結城。

腐りそうになりながらも、

やっと本庁の生活安全部への配属が決まりました。

 

とはいえそこは

結城警部の求めていたものではありません。

それでもここで結果を残せば

まだその可能性があると考える結城。

 

結果を求めるあまり、結城の仕事への意気込みは強く、

捜査一課や上司との摩擦がないとは言えず、

融通もききません。

 

日常の業務以上を求めてしまう結城警部。

花形捜査一課の刑事たちと摩擦をおこなしながらも、

捜査一課へのあこがれが捨てられない結城。

 

そんな結城が、

人々の生活に密接した事件を追っていきます。

 

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生活は物語のような結末を迎えられない

生活安全課が取り扱う事件は、

捜査一課の取り扱うものとは異なり、

生活に密接した事件です。

 

  • 少年事件
  • わいせつ事案
  • 高齢虐待防止法のための市職員の調査の立会い
  • 不法投棄
  • 近隣トラブル
  • 条例違反の確認

など様々なケースを調査しています。

 

はっきりと事件であるとわかるものから、

犯罪を防ぐための調査まで、

治安維持に密接に関わる部分に取り組んでいます。

 

たくさんの事件と向かい合ってきた結城は、

問題がある結末を迎える懸念を持ちながらも

手立てがなく、様子を見ることしかできないこともあります。

 

また、犯罪とはいえないけれど、

不穏な出来事もたくさん日常生活には潜んでいます。

そういった積み重ねが、事件に繋がるのです。

 

それを結城警部が

一つ一つ試行錯誤しながら進んでいきます。

しかし、そこは生活の延長線。

かならずしも快刀乱麻とはいかないのです。

 

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小説「聖域捜査」 まとめ

「聖域捜査」は日常に潜む事件を題材にした短編集です。

普通の生活を送っていたにもかかわらず、

ちょっとした問題やトラブルが事件につながってしまいます。

事件の芽は日常に潜んでいるのです。

 

市井の人々のおこす大事件とは言い難いけれど、

巻き起こる問題と犯罪。

そういった事件と向き合うためか、

結末はすっきりとしたものではありません。

 

市井の事件ほど割り切れない余韻を残してしまうのです。

そんな事件に結果を求める結城のような警察官が向かい合うことで、

治安が維持されていくのかもしれません。

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