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映画「馬を放つ」は、2018年の3月17日に劇場公開されたアクタン・アリム・クバト監督によるヒューマンドラマになっております。

あの娘と自転車に乗って」や「明りを灯す人」などを生み出してきた、キルギスの映画作家による力強くも優しいメッセージが込められている作品になります。

 

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ストーリー紹介(ネタバレなし)

中央アジア・キルギスの小さな村で、ギリシャ神話からとった「ケンタウロス」というニックネームで呼ばれているひとりの男がいました。

時代の流れと共に遊牧民族の誇りが薄れていることを、彼は常日頃から心配していました。

 

ある日の夜のこと村人たちが寝静まるのを待ち、ケンタウロスは密かに地主の厩舎に忍び込んで馬を草原に逃がしていました。

高級な競走馬を失った馬主で村の有力者でもあるカラバイは、伝道師の力を借りて逃げた馬の行方を突き止めることに成功しました。

 

馬泥棒のサディルは濡れ衣を着せられてしまったのが面白くなく、

カラバイと地元の警察組織をそそのかして犯人を生け捕りにするために村の隅々にまで狡猾な罠を張り巡らせていくのでした。

 

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監督としても俳優としても活躍

主人公のケンタウロスにアクタン・アリム・クバト監督自らが扮しながら、大草原をバックに迫真の演技を披露しているのが勇ましいです。

終始一貫して無表情を崩すことのなかったケンタウロスが、突如としてエモーショナルに爆発する映画後半のシーンが圧巻です。

 

ザレマ・アサナリヴァが演じている妻のマリバとの、言葉を使うことのない手話を介したコミュニケーションも良かったです。

夫婦喧嘩をしたケンタウロスとマリバを気遣う息子がふたりの間に布団を敷いて「川」の字になって眠る場面には、古き良き時代の日本映画のワンカットを思い浮かべてしまいました。

キルギスを代表する映画作家トロムーシュ・オケーエフへの、静かな敬愛も込められていました。

 

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映画を見た個人的感想

聴覚にハンディキャップを抱えている妻のマリバ言葉を発することのない息子ヌルベルディに囲まれている、ケンタウロスたち3人の静かな暮らしぶりには心温まるものがありました。

ケンタウロスの周りで穏やかに流れていく時間とは対照的に、

カラバイやサディルたちが欧米中心の価値観や物質的な豊かさに捉われていることを考えさせられました。

 

豊かな自然に包まれて穏やかな時間が流れていた最後の楽園に、西洋化の波が押し寄せていく様子には一抹の寂しさを感じてしまいました。

グルジアやキルギスなどの映画産業界が未発達ながらも、

ハリウッド映画とは一線を画した知られざる名作を生み出し続けている旧ソ連の小国の現状にも重なるものがありました。

 

まとめ

全編を通してキルギスの壮大な景色が映し出されていくので、DVDやスマートフォンではなく劇場のスクリーンで鑑賞して頂きたいです。

全国ロードショー向きの商業映画に物足りなさを感じている方にも、お薦めな1本です。

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