日本には古来から国を守るドラゴンがいた、という世界の物語です。
そのドラゴンを操り、ともに飛ぶ少女たち。
国を守るそのドラゴンたちは戦前は日本政府と日本軍が、今は航空自衛隊が管理している、という設定はトンデモでもあり、
しかし、大変に緻密で納得の出来栄えだったと思います。
国を守る、本当の『モノ』の正体
ひそねたちが操っているドラゴンたちの存在意義は、
74年ごとに繰り返されていく、国を守る本当の存在を鎮める神事を執り行うことでした。
超大型変態飛翔生体と言われる「ミタツさま」を鎮めないと国が亡ぶ、というのです。
そのために全自衛隊が全面的に協力してそのミッションを執り行うのですが。
ひそねたちはその最前線に駆り出されるのです。
しかし、実はその神事を執り行うための神職としてドラゴンの世話を行っていた小此木と、
その神事に欠かせない巫女として育てられてきた小此木の幼馴染のナツメという少女の存在にひそねは揺れていました。
人との関わりを構築するのが苦手なひそねにとっては、
小此木は初めて『好意』を持った異性だったのです。
恋か、国か。本当に大切なものとは何だったのか?
ひそねたちは、その神事の本当の意味を知ります。
神事を行わないと国に重大な危機が及ぶ、しかし誰かを犠牲になんて出来ない。
小此木は自分が身代わりなってその任を務めることを申し出ますが。
その究極の選択の中で、ひそねはまさに自衛隊の服務の宣誓の一説を口にします。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」
彼女は自ら、OTF”まそたん”とともにその危機に飛び込んでいき、神事をなしていくのです。
すがすがしいほどに晴れ渡った空。
小此木は神事の行われた山を再び訪れるのです。
超大型OTFの”ミタツさま”とともに飲み込まれてしまった”まそたん”と、ひそねの姿を求めて歩く彼の眼のまえに現れたのは…?
そして、ひそねらに救われた巫女たちの未来は?
究極リアルなメカ描写とファンタジーが見事に入り混じった素敵な物語は、
大団円を迎えました。
まとめ
もともと自衛隊の航空機が好きで見始めたこの作品は、
『シン・ゴジラ』を製作された樋口真嗣監督が制作した完全オリジナルのアニメ作品でした。
ドラゴンが偽装して戦闘機や輸送機になるという発想と、そのメタモルフォーゼの見事さに魅了されただけでなく。
自衛隊側の装備や岐阜基地の描写は、見事としか言いようがない出来栄えでした。
ことに、エンドロールに藤倉航装の名前を見つけたときには『うひょー!』となりました。
この会社は、パイロットなどの装備を実際に防衛省に納入している会社ですが。
設定にもきちんと活かされており、戦闘機と共に自衛隊側のリアルさを追求するのに大きく影響しています。
そうした足場固めをきっちりやったうえでのファンタジーです。
面白くないはずがありません。
もしかしたら、本当にこの国はこんなドラゴンたちと、自衛官たちに守られているのでは?
と思ってしまうほど、楽しませてもらった12話でした。