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小説「旅路の果て」は、
1984年の820日に
白水社から翻訳刊行された
ジョン・バースの長編小説です。

生まれ育ったメリーランド州にある
ジョンズ・ホプキンズ大学で
教授としても活躍している小説家が、
若干24才の時に発表した作品になります。

 

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ストーリー紹介(ネタバレなし)

ジェイコブ・ホーナーは30才を迎えるまで
無職状態でぶらぶらとしていました。

1953年の6月、担当医のアドバイスに従って
メリーランド州にあるウィコミコ州立学芸大学で
英文法の教師の仕事に就くことになったのです。

岬のホテルに滞在中に、
偶然にも手頃な物件を見つけて、
カレジ・アベニューに間借りをします。

宿泊料金を精算した後に、
お気に入りのレコードと
ボロボロになるまで読み込んだ愛読書などの
僅かばかりの財産をシボレーに乗せ、
新居へと引っ越しました。

お節介焼で噂好きな家主のミセス・オールダー
ひと癖もふた癖もある学長のジョン・ショット博士たち
振り回されていきながらも、ジェイコブの
第2の人生は幕を開けてしていくのでした。

 

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本を読んでみた個人的感想

ストーリーの舞台に設定されている、
メリーランド州のチェサピーク湾に面した
都市の街並みや風景が印象深かったです。

アメリカの北部に所属しながら
南部的な伝統も混在して、
開放的なムードや文化を垣間見ることが出来ました。

退屈な商店街やありきたりな公園の中にも、
この地方独自に受け継がれてきた歴史の重みが漂っています。

また、都会のど真ん中での生活を送ってきた青年が、
ある日突然、田舎町へと投げ込まれて
困惑している様子がユーモアたっぷりに描かれていました。

同僚の教職員たちとの噛み合わない会話や、
ぎこちない振る舞いや微妙な距離感にも
忘れ難いものがあります。

いつの時代どこの国や地域でも変わることもない、
男と女の泣き笑いには心温まるものがありました。

 

 

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とくによかったセリフや言葉

全編を通して、
味わい深いメッセージや会話がたくさんありました。

その中でも1番に印象に残っているのは、
あとは人生にまかせるほかない。
そとへ出て生きなさい

というセリフでした。

かつてはジャズミュージシャンに憧れていながら、
クラリネットを諦めて教鞭を執ることになった
主人公・ジェイコブ・ホーナーが教え子に投げ掛ける
優しさ溢れる言葉です。

ジュリアード音楽院で
オーケストラの編曲を学びながらも、
挫折して作家への道のりを歩いていくことになった
若き日の著者自身の姿にも重なるものがありました。

行き当たりばったりの生きざまにも、
不思議な親近感が涌いていきます。

思い通りにならない人生のほろ苦さと共に、
何度でもやり直せる素晴らしさも伝わってきました。

 

まとめ

新しい場所での生活や仕事に
チャレンジすることを考えている、
若い世代にはオススメな1冊です。

ジェイムズ・ミチナーを始めとする
アメリカ東海岸文学に造詣の深い方にも、
ぜひとも見て頂きたい作品だと思います

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