映画「6才のボクが、大人になるまで。」は、
2014年の11月14日に劇場公開された
リチャード・リンクレイター監督による
ヒューマンドラマです。
「ビフォア・ミッドナイト」や
「ファースト・ネイション」などと同じく、
イーサン・ホークとコンビを組んだ作品になります。
ストーリー紹介(ネタバレなし)
メイソン・シニアとオリヴィアは、
お互いに23才の若さで子供を授かりますが、
まもなく結婚生活は破綻し、
別れることになりました。
6才になる息子のメイソン・ジュニアと、
姉・サマンサを連れて
オリヴィアは生まれ育った町である
ヒューストンへと引っ越します。
メイソン・シニアは、
ミュージシャンとして
アラスカを拠点に活動を続けていましたが、
子供たちへの未練たらたらで
結局アメリカ本土へと戻ってきました。
オリヴィアは大学で心理学を学ぶうちに、
教授のウェルブロックに惹かれていき、
やがては再婚へと至ります。
教授のふたりの連れ子に
オリヴィア・サマンサ・メイソン・ジュニアが
ひとつ屋根の下に集まり、
6人での奇妙な共同生活は幕を開けていくのでした。
ひとりの俳優を追い続ける
メイソン・エヴァンス・ジュニアを演じている、
エラー・コルトレーンの迫真の演技がよかったです。
映画撮影が開始された当時は、
若干7才でまだまだあどけない表情を浮かべていた少年が、
みるみるうちに青年へと変化を遂げていく様子を
鮮やかに体現していました。
思春期特有のいじめや
失恋といった出来事も、
けしてセンセーショナルになることなく
あくまでもサラリとしたスタイルで
映し出されていくので共感出来ました。
やがては大学の寮に入り家を出る時には、
メイソン・シニアとの別れが
我が子と離ればなれになるような名残惜しい感情がわいていきました。
ひとりの俳優の成長の歩みと共に、
12年間の家族模様を綴ったドラマには、
心温まるものがありました。
映画を見た個人的感想
オープニングショットでの
当時のジョージ・W・ブッシュ政権が敢行した
イラクへの派兵への痛烈な批判が
懐かしく思い出されます。
5年後にバラク・オバマ当選に奔走する若者たちの姿など、
時代の移り変わりがストーリーの中に散りばめられているのが
味わい深かったです。
いい年をして夢を諦め切れない父親や、
やたらと男運に恵まれない母親の不甲斐なさが
笑いを誘います。
いつまでも大人になれない大人と、
早く大人になりたくて仕方がない子供たちとの
コントラストが鮮やかでした。
2002年の夏から13年の10月まで、
11年間に渡る撮影期間には
驚かされました。
日常の積み重ねによって、
子供が大人へと変わっていく瞬間を捉えた映像には、
強く心を揺さぶられました。
まとめ
シングルマザーやステップファミリーの切実な現状や、
リアリティー溢れるタッチから再現されていく生活の風景が
味わい深かったです。
家族や身近な人たちとの関係性に
思い悩んでいる方に観賞して頂きたい1本だと思います。