秋になり、スーパーに秋刀魚が並ぶと、ふと「秋刀魚の歌」を思い出す人もいるのではないでしょうか?
「あはれ 秋風よ 情あらば伝えてよ~」
から始まるなんとなくさみしい詩ですが、ちょっと意味がわかりづらいですよね。
一体どんな情景の詩なんでしょうか?
実は、この詩は作者の恋の歌なんですよ。
「秋刀魚」とどうつながるんでしょうか?
それでは、さっそくその詩の内容を見てみましょう!!
こういう事だったのか!秋刀魚の歌の解説を見たら納得できる!
この秋刀魚の歌、登場人物は3人います。
「男」が主人公で、そのほかに「人妻」と「人妻の娘」が登場します。
ある日、男は夕食に、秋刀魚を一人で食べています。
その時に、ふとある思いにふけっていました。
男は、とある人妻に想いを寄せていました。
その人妻は夫にないがしろにされていて、そんな彼女への同情の思いが恋心に発展していったのです。
しかし、それは許されざる恋。
そんなある日、想い人である人妻とその娘が、男の家を訪ねてきます。
その夜は3人で夕食を食べることになり、その時に出てきた料理が秋刀魚でした。
人妻は、その男の故郷でするように、秋刀魚に青切りみかんを添えました。
そしてその娘は、父親でもない男に、苦くて食べられない秋刀魚の内蔵をあげます。
未だに人妻への思いが断ち切れない男は、そんな昔の情景を思い出しながら涙をこぼすのです。
なんとも悲しい情景が思い浮かびますね。
自分の故郷での秋刀魚の食べ方を知っている人妻…。
父親でもないのに、無邪気に食べ残した内蔵をあげるその娘…。
さて、こんな心に染み入るような詩を作ったのは誰なんでしょうか?
こんな情景は誰が作ってる?秋刀魚の歌の作者ってどんな人?
「佐藤春夫」という詩人が、この詩の作者です。
佐藤春夫は、作家・谷崎潤一郎の妻である千代を好きになってしまいます。
当時、谷崎潤一郎はほかの女性と恋仲にあり、佐藤春夫は千代から相談を受けていました。
しかしそうしているうちに、佐藤春夫は千代のことを好きになってしまいます。
その後、千代をめぐり佐藤春夫と谷崎潤一郎の間でひと悶着ありました。
しかし、最終的に千代と谷崎潤一郎は離婚して、佐藤春夫は彼女と結婚することができたのです。
実はこの詩は、当時はまだ谷崎潤一郎の妻だった千代とその娘、そして佐藤春夫の食卓に秋刀魚が出た時の詩なんですよ。
彼の実体験だからこそ、わたしたちの心に深く入ってくるんですね。
まとめ
「秋刀魚の歌」は、詩人佐藤春夫の実体験から生まれた名作です。
谷崎潤一郎の妻・千代に想いを寄せ続けた佐藤春夫はこのような名作を生み出し、のちには彼女と結ばれます。
さぁ、もう一度この詩を読み返してみましょう。
ひとつのドラマが見えてきますね。