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内田春菊さんは若いころからずっと追いかけてきている作家さんで、子供たちの成長を見ているのも楽しみな方だったのですが。

その彼女が58歳にしてガンになりました、という実話です。

ここまで描き切れる人は、恐らく他にはいないでしょう。

 

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へそピアスとストーマ

ものすごく、衝撃的な表紙です。

赤いバックに、金髪の彼女。

白いへそ出しタンクトップとローライズのジーンズ、へそピアスの隣に、ストーマの蓋。

 

書店の棚に平積みになっていたのを見て、がつんと頭を殴られたような衝撃がありました。

…元気な働き者という印象だった彼女の身体に、がん…?

そのまま掴み買いして帰宅、一気読みして、虚脱状態になりました。

 

体型に悩んでいた時に、息子くんに勧められて始めた炭水化物抜きダイエットがその発覚のきっかけになった、ということをさらっと描いていますが。

しかし、それでも、数々の修羅場を潜り抜けてきた春菊さんにして、紙面から湧き上がるような、この狼狽、動揺具合はどうした事だろう、と思うほどでした。

 

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彼女でなければここまでは描けなかった

自分の体の変調に気づいたところから、検査を繰り返している描写、その中にさしはさまれる子供らとの日常、そして恋人の話など。

彼女らしいといえばらしい、その姿は、しかしやはりいつもとはどこか違う緊迫感が溢れていました。

 

検査が終わって治療に移る、ということなって具体的な話が出てくると、それはもう怒涛の展開でした。

なんというか、

人として、女として、母としてのアイデンティティの追及につながるような

そんな内面と日常の往復という感じで、これはおそらく本当に彼女の頭の中がこうだった、という部分を溢れるままに描いてくれたのだと思います。

 

普通の人は、こんなに明確に思い出して分析して描けないよ!

と思いながら読んでいたのですが。

わが身に置き開けてみると本当に震えるほどに怖かったのです。

 

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失ったものと、得たものと

ストーマをつけて日常に復帰する

ということは…身体の一部を失って、それに代わるものを身体につけてみて、ということになるわけですが。

がん、というものは、ただそれだけで本人や家族だけでなく、周囲の人たちも含めて酷くゆさぶるのだと思い知らされました。

 

子供たちや周囲の仲間、そして長年かかっている信頼できるお医者様に支えられて、手術からの日々もはじまりました。

やはり、一部とはいえ、その喪失感はとても大きいのだと思い知らされます。

しかしきっとまだまだ彼女の「闘病記」は、これからも続いていくはずなので、ずっと読み続けていきたいと思うのです。

これまでの繁殖シリーズ同様、これはすべて彼女の「人生の記録」なので。

 

まとめ

強い人だな、と思います。

春菊さんのこれまでも、強い、と思ってきたけれど。

生命の危機に際して揺れつつも、ここまでの記録を残してくれた、という意味で。

 

これを読んで、自分を振り返って、さらに救われる人がいるかもしれない。

そういう意味で、この記録にはとても大きな意味がある、と思うのです。

マンガって、凄い。

眼で見て、これだけの情報を私たちに与えてくれるのですから。

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