最近金曜ロードショーでもやっていた、是枝監督の「海街dialy」の原作漫画の最新巻。
どの巻にも鎌倉・江の島など湘南エリアでのリアルな暮らしが描かれていて、「あ~、いつかは素敵な湘南ライフを過ごしたい...」と思っている人にも、「地元が湘南だったけど、この風景懐かしい...」と浸りたい人にもおススメ!
どの巻でも家族のいかんともしがたいお話が描かれていて、時に心が痛く、時に癒され、時に勇気づけられます。
そんな海街dialyの最新巻のみどころポイント紹介します。
三女チカの妊娠と、胸を打たれるその思い。
四姉妹のうち、あまりストーリーの中で主軸を張ることが少なかった三女のチカ。
今回は彼女とその彼氏にスポットがあたります。
チカはバイト先のスポーツ店の店長と付き合っているのですが、今までは父の葬式前に突然アフロにしたり、釣りにハマっていたり、今イチつかみどころのない不思議ちゃん…という印象でした。
従って、他の姉妹に比べると読者としては共感性は低め。
今回、彼女の妊娠発覚から話がスタートするのですが、自身の妊娠を店長はおろか、他の姉妹にも伝えようとしません。
その理由は、登山家でもある店長が、以前挑戦したエベレストへの再登頂を心に決めている中、彼の思いを邪魔したくないという女の子らしいけなげな思いから。
店長のエベレスト再挑戦にかける思い
店長がエベレストに挑戦したものの、失敗してしまった話は今までの「海街daialy」でも鍵になる話として、以前登場していました。
親しくなったシェルパが「ツルが飛んでいないからやめろ」と伝えたにも関わらず、店長は仲間とともにエベレスト登頂に向けて登っていきます。
しかし、天候は悪化。
ビバーク(緊急的野営)を余儀なくされます。
あきらめかけた3日目の朝、青く澄み切った空を、悠々と飛んでゆくツルを目にします。
今しかない!と下山をし、店長は結果、足の指6本は失いましたが、一命はとりとめました。
それ以来、山からは遠ざかっていた店長。
チカが山に登ってみたいと伝えても、断ります。
チカの妊娠は結果的に店長の耳にも入りますが、プロポーズの後、「大事な人に見せたい風景がある。そのためにも、自分の中にある山への恐れを克服しなくてはならない」と再挑戦を心に決め、ヒマラヤへ向かいます。
長女の幸、さすがの一言…!
かたや、「彼は山に取り残してきた思いがある。それをしっかり取り戻してきてほしい」と願うチカ。
かたや、「自分の弱さと向き合い、大事な人に大事な風景を見せたい」と願う店長。
どちらの思いも、相手を思うため。
結果としてチカはゴミに出した妊娠検査薬によって妊娠がバレてしまった末っ子のすず以外には妊娠を秘密にする、という行動をとってしまいました。
その後、暑い中すずと一緒に店長エベレスト再挑戦の安全祈願に鎌倉の寺社巡りをしていたチカは倒れてしまい、緊急搬送。
結果、長女の幸・次女の佳乃にもバレてしまいました。
当然の如く怒られるチカ。
しかし、店長へのチカの思いを知っているすずは、必死になってチカをかばいます。
長女の幸は、「秘密を負わせる事で、結果すずも傷つけた。また、一番大事な事を教えてもらえないのは、彼も傷つけることになる」とチカを諭します。
さすが長女…。
海街dialy8巻 ネタバレ感想まとめ
離婚、不倫、遺産相続…鎌倉の山や海、寺社の景色の合間に描かれる、一筋縄ではいかない家族の海街dialyのストーリー。
今回の「妊娠」を巡る話も、チカ・店長・秘密を守りながらチカを見守る妹のすず、それぞれの登場人物の想いが交錯する様子が自然に描かれていて、今回も見ごたえがあります。