私は建設業界で、
現場監督という立場で仕事をしております。
「監督」という言葉がついているからといって
偉いわけでは全くありません。
ただ建設業界に入る時に、
設計者になりたいのか、監督になりたいのか、それとも職人になりたいのか
人それぞれ違うので、
どれを選んでも当然同じように下積みが始まっていきます。
その中の一つである
現場監督について執筆させて頂こうと思います。
何をしていても怒鳴られてしまう
工事現場では毎朝8時から
「朝礼」というものがあります。
内容は主にその日の作業内容と
それに伴う危険ポイントの説明です。
工事現場の規模にもよりますが、
何十人何百人という数の人間が同じ場所で作業を行うので、
全員が共通認識をもたなければ事故が起きてしまうという考えのもと、
朝礼が行われています。
この朝礼が大体20分程度あり、
終わり次第現場作業スタートとなります。
私はこの朝礼が終わった瞬間に
誰に怒鳴られるのかいつもびくびくしていました。
というのも、現場監督という立場は、
現場で体を動かす職人さんたちが作業がしやすいよう、
事前に打ち合わせを行い、よい段取りをしていなければなりません。
わかっていながらも、現場監督は一般的に
10年経ってようやく半人前になれるかなれないかと言われている業種なので、
新人の私は職人さんたちが望むような段取りをなかなかできません。
なので、朝礼終了と同時に怒鳴り声が飛んでくるのが
当たり前の状況だったのです。
思考回路がおかしくなってくる
日中は現場で怒鳴られ、
現場終了後も事務所で最低でも終電まで事務作業を行う毎日を繰り返していくにつれて、
徐々に自分が駄目になっていくのを感じました。
物忘れがひどくなり、
山ほど仕事は溜まっているのに何から手を付けてよいのか判断もつかなくなっていき、
常に何を言われるのかという恐怖に捕らわれて、
緊張状態が解けなくなっていきました。
たまにの休日も仕事のことばかりを考えるようになり、
何をしていても気が重く、
すれ違う人全員が幸せそうに見えてしまい、
自分の現状を嘆いてばかりいました。
相談できるような人もいなかったので、
自分一人で抱え込むしか方法がありませんでしたが、
現場を進めていかなければいけないので、
ぎりぎりの精神状態の中で仕事をしていました。
そんな中でも少しずつ前へ
上記で書いたように、
何のために生きているのかわからなくなるような日々を送りながらも、
諦めず少しずつ仕事をこなしていくことにより、
ようやく現場が終わりに近づいてくると、
今までの日々を評価してもらえるようになってきました。
毎日怒鳴っていた人も終わりが見えたことによって、
冷静に自分と接してくれるようになり、
自分も少しずつ前向きな考え方をできるようになってきました。
逃げ出したい毎日だったけれど、
何とか踏ん張れたことで、とてつもない達成感を感じることができ、
地図に残るような建物の工事に携わることができたことを
誇らしく思えるほどまでになり、
今後の自信にも大きく繋がりました。
こんなに辛い現場はもう二度とないだろうと、
これを乗り越えたんだから怖いものはないと思えました。
まとめ
辛く苦しい、先が見えないような状況の中でも
自分が諦めずに日々取り組んでいれば、
必ずどこかで見てくれている人がいて、
いつかそれが報われる時が必ず来る。
決して悪いことばかりではないのだと
改めて考えさせられた工事現場でした。