映画「バスジャック」は、2014年2月8日に劇場公開された深沢佳文監督によるクライムエンターテイメントになっております。
2013年に制作されて諸事情により公開が延期され、僅か1週間で上映が打ちきりとなった曰く付きの作品です。
映画「バスジャック」ストーリー紹介(ネタバレなし)
会社をリストラされた小宮昇は、健康診断のレントゲン検査の結果から内臓に不吉な影があることが判明しました。
ここ数日は歯の痛みに悩まされ続けていて、踏んだり蹴ったりの日々を送っています。
ある日のこと反社会的勢力から逃走中のふたりの構成員が落とした拳銃を公園で拾って、何とはなしにズボンのベルトに挟みます。
生まれ育った四国地方行きのバスを見つけて、懐かしさから運転手に話しかけているとバスジャック犯人と勘違いされてしまい最後部の座席に押し込まれてしまいました。
偶然に居合わせた9人の男女を乗せて、バスは目的地へと発車します。
走行中のハプニングから、次第にそれぞれの乗客が抱えている訳ありな事情が浮かび上がってくるのでした。
主演のふたりの俳優の魅力
主人公の小宮昇に扮している遠藤章造の、オーバーリアクション気味な演技がユーモアセンスたっぷりとしていました。
本職はお笑いコンビ「ココリコ」での芸人さんとしての活動ですが、後にメジャーリーガーとなった辻本賢人と共演した「岸和田少年愚連隊野球団」では大好きな野球への思い入れを活かした役柄にチャレンジしています。
石川寛監督の群像ドラマ「tokyo.sora」では、俳優としてのシリアスな一面も披露しています。
ヒロインの早川はるかを演じている石橋杏奈はNHKのバラエティー番組「LIFE!~人生に捧げるコント~」で相方の田中直樹と共演しているだけあって、本作品でも遠藤と息の合ったコンビネーションを見せているのが微笑ましかったです。
映画「バスジャック」を見た個人的感想
全編を通して東京都内から高知までの道のりを高速スピードで走り続けていく、長距離バスの車内に限定されたソリッドシチュエーションがスリリングな味わいでした。
バスジャックを見て見ぬふりをしてしまう頼りない警察官と、常識はずれで粗暴なイメージが強い極道者が意外な正義感を発揮しているコントラストが印象深かったです。
単純な善悪二元論では推し量ることが出来ない人間の複雑さと共に、一見すると無関係に思えていた登場キャラクターたちに奇妙な繋がりが生まれ始めていく展開に惹き込まれていきました。
「ストックホルム症候群」とも言うべき人質たちの一体感と、それぞれの乗客たちに終着点で訪れることになる旅立ちには心温まるものがありました。
まとめ
ロードショーでの大ヒット作や全国展開するシネコンに物足りなさを感じている方たちには、是非とも鑑賞して頂きたいと思います。
マニアックなインディペンデント映画を愛して止まない皆さんにもピッタリな1本になります。