映画「南極料理人」は、2009年8月8日に劇場公開された沖田修一監督によるヒューマンドラマになっております。
元になっているのは海上保安官を務めた西村淳によるエッセイ集になり、堺雅人の主演によって実写化されています。
ストーリー紹介(ネタバレなし)
1997年の冬に同僚の鈴木がバイク事故を起こしたことによって、海上保安庁に所属する西村淳は代行として南極観測隊へと赴任することになりました。
妻と娘と生後間もない息子との別れに未練たらたらながらも、沿岸部の昭和基地から約1000キロ離れた極寒の山岳地帯に立地する「ドームふじ観測拠点」にまでたどり着きます。
マイナス54度の厳しい気象条件と外の世界から完全にシャットアウトされた基地内で、8人の隊員はすっかり疲れ果てていました。
西村は限られた食材と特殊な環境の中でも、アイデアと工夫を凝らしてバラエティー豊かなメニューを提供していきます。
腕によりをかけた料理は、隊員たちの凍てついた心と身体を優しく温めていくのでした。
主演の堺雅人の俳優としての魅力
堺雅人が、実在する西村淳の役に持ち前の演技力を発揮していきます。
今でこそ「半沢直樹」などの大ヒット作品からNHK大河ドラマの主演にまで恵まれていますが、役者として日の目を見るまでには紆余曲折とした道のりがありました。
アルバイトで細々と食いつなぎ、道端に咲いているタンポポを食糧としていたのは余りにも有名なエピソードです。
本作品の中でも最初は強引な上司に押し切られる形でいやいやながらも、南極まで駆けつけていく主人公の実直な人柄にピッタリはまっていました。
華麗なる包丁捌きと意外にも似合うエプロン姿を披露しながら、極限状況下でも盛り付けへのこだわりを保ちながら妥協を許さない料理人の生きざまを体現していました。
映画を見た個人的感想
気象学者から医師更には車両のスペシャリストまでが一堂に食卓を囲み、両手を合わせて「頂きます」をするシーンが微笑ましかったです。
西村が腕によりをかけて振るう、朝昼晩の御飯が実に美味しそうでした。
ぶりの照り焼きや玉子焼きなどの家庭的な一品や、伊勢海老のエビフライや牛の丸ごとステーキなどの豪快なメニューには驚かされます。
ベーキングパウダーに水と塩を混ぜ合わせて手作りしたラーメンは、思わず自宅で試してみたくなりました。
空腹を満たすばかりではなく、単調な生活やストレスを癒す役割を担っていることが伝わってきます。
西村が日本や娘を思い出して落ち込んでいた時に、仲間たちが振る舞った思わぬ料理にはほっこりさせられました。
まとめ
南極観測隊の過酷な状況下で奮闘する料理人と、個性豊かな隊員たちが織り成す人間模様が見どころです。
コンビニのお弁当やファーストフードのハンバーガーなどで、味気ない食生活を送っている皆さんにはピッタリな1本です。