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「破滅の石だたみ」は、2008年の6月8日に町田康によって角川書店から刊行されたエッセイ集になっております。

町田町蔵名義でミュージシャンや俳優としても活動を続けている小説家が、破天荒な生きざまを振り返っていきます。

 

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多彩な著者のプロフィール

本作品集の中でも述べられているように、町田康は1962年に大阪府で生まれて住吉区の遠野小野で20歳まで暮らしていました。

進学校に入学した高校生の頃から、学業への興味を失ってドロップアウトしていったようです。

 

その代わりにパンクロックに熱中し始めて、クラスメイトたちとバンドを結成してライブハウスで演奏していました。

1982年にファーストアルバム「メシ喰うな!」でデビューします。

 

たまたま目黒区内で出会った映画監督の山本政志に誘われて、若松孝二監督のラブストーリー「エンドレス・ワルツ」に出演しています。

更には偶然にもその作品を見た柳美里から編集者を紹介されて、作家として数多くの傑作を発表していくことになるのでした。

 

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本を読んでみた個人的感想

著者が生まれ育った故郷である大阪市内の、何気ない路地裏や街角の風景が描写には味わい深いものがありました。

テスト勉強や受験そっちのけで通い詰めたリハーサルスタジオや、中古のレコード店に入り浸って未知の音楽の世界への憧れを募らせていく若き日の姿が微笑ましかったです。

 

同い年の級友たちが図書館の自習室で必死に学校から与えられた課題に取り組んでいるのを尻目に、黙々と古今東西の名作文学を読破していく様子が勇ましかったです。

人と群れることを極端に嫌いながらも決して冷たい性格ではなく、周りの人たちを惹き付けていくような不思議な魅力が溢れていました。

運命に導かれていくかのように、小説の執筆を決意するシーンが圧巻でした。

 

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特に良かったセリフや言葉

ユーモアが満載なこの本の中でも1番に印象に残っているのは、

「自らの才能に恃むところがあった」

というセリフでした。

 

20代後半にして無職となってしまった著者が、当時お付き合いをしていた女性のアパートに転がり込んでいく場面に登場する言葉です。

同居人の女性が毎朝慌ただしく出勤した後になって、練馬区関町の2Kのジメジメとした室内にポツンと残される著者が笑いを誘います。

 

時代はまさにバブルの好景気に浮かれ切っているのに、昼間から家のテレビで時代劇の録画放送を眺めている後ろ姿には一抹の寂しさが漂っていました。

苦しめられたヒーローが悪代官を打ち負かすように、自分の思いを真っ白な原稿用紙にぶつけていく様子が思い浮かんできました。

 

まとめ

マニアックな音楽からB級のカルト映画までを愛してやまない方たちや、純文学の愛読者には是非とも手に取って頂きたい1冊だと思います。

新しい何かにチャレンジしてみたい

と考えている、若い人たちにもピッタリな作品です。

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