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同じ日に生まれ、
小さい町で育ってきた鈴愛と律が、
大人になりかける日々で恋をしました。

しかしそれは、
それぞれに違う相手にです。

それまで当たり前に隣にいた2人でしたが、
このままではいけない
離れることを選択した律と、
しがみつこうとした鈴愛

恋愛感情とは違う絆があったはずの二人ですが、
大人になるためには超えなければならない壁、
そしてクレバスのような亀裂が生じてしまいました。

彼は、彼女の半身、
そして片方の翼だったのです 

 

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同じ日に、同じ産院で生まれた二人

少女漫画なら、
反発したり違う相手と恋をしながらも
最後にはお互いを思う気持ちに気付き、
愛しあうパターンもあったかもしれません。

ですが、ただそこに生まれただけの2人が
そんなことになるわけもなく、
この別離は本来はもっと早くに訪れるべき
自然な流れでした。

そこに
「二人を近くに住まわせよう」
画策した母親たちが介在していたために、
ほんの少し延長戦に入っていた
というだけです。

家族以上に家族だった相手に対して
恋心を抱く」ことの不自由さ、
直截な言葉を使うと気持ち悪さと紙一重な状況から、
律が離れる決意を固めただけということですね。

長すぎる共通の時間は、
大切な思い出であると同時に、
彼らにとっては「枷」でもあったのです。

 

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律と鈴愛、小さかった2人の姿がかぶる

律の初恋の人、
そして恋人になった清と鈴愛が、
二人の誕生日にぶつかります。

清は鈴愛に嫉妬し、
鈴愛は清に「律は私のものだ、返せ!」と叫びます。

2人は取っ組み合いのけんかに発展し、
その結果、大切な昔の写真が破れてしまいました。

正しくは、鈴愛がそれをしてしまうのです。

この二人のいさかいは、
見る方の世代によって大きく解釈が変わってくると思います。

精神安定剤としての律に依存し、
律の「自立」を受け止めきれずにいた鈴愛。

まるでそれを象徴するような清の存在に
自分の内面を切り替えられず、
その時空に取り残されている。

私はそう解釈しました。

喫茶店のテーブルで対峙する2人に、
幼い子供時代の2人の姿が
幼い頃の自分たちとかぶります。

あの頃のままだったら、
きっと自分は、そして律も幸せだったはず
という鈴愛の願望だったのかもしれません。

 

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彼は、半身であり、片翼だった

律は、まるで鈴愛の半身のようでした。
そしてそれまでの彼女の片方の翼のようだったのです。
それをもがれ、初めて鈴愛は
本当に1人で立つことになりました

しかし、それはただ一人になっただけ。

今感じている心許なさは、
みなもっと早い時期に感じるべきものだったはずです。

ずるずると進んでいくよりは、
それは鈴愛にとって
大切なプロセスになるはずのものだったのですが、
先の見えない若い彼女にとって、
とてもしんどいということは間違いないですね。

今の時点でその決断をした律は、
一足先にほんの少し大人になった
ということになります。

彼にとって、鈴愛は大切だったことには違いないのですが
それは恋ではなく、兄や弟としてだったようです。

決定的な亀裂が出来てしまった今この時、
惰性でずるずる進むのではなく、
きっぱりと決別することを選んだ律
は、
実はとてもやさしかったのだと思います。

 

まとめ

半分を過ぎたところで、
主人公の鈴愛はその人生の方向性をやっとつかんできました

遅れてきた『子供時代の終焉』
とても幸せだったけれど、
いつまでもそのままでいられません。

取り残されてしまった鈴愛は、
その心許なさにどう立ち向かっていくのかが、
これから先の彼女の人生の
ひとつのテーマになっていくのだと思います。

 

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