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小説「バイバイ、ブラックバード」は、

2010年の7月に伊坂幸太郎によって双葉社から刊行された

連作短編集になっております。

 

太宰治の未完の遺作「グッド・バイ」からインスパイアされたストーリーになり、

「ゆうびん小説」として50名の読者にプレゼントされた作品を単行本化したものです。

 

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ストーリー紹介(ネタバレなし)

星野一彦は繭美という身長190センチ体重200キロの大女と結婚し、

「あのバス」に乗せられて知らない場所へ連れていかれようとしています。

 

最後の願いとして、今まで愛した5人の女性たちの元を訪れて

それぞれに別れを告げることにしました。

 

1番目の廣瀬あかりが住む都内のマンションへと向かい、

復縁を賭けて星野はジャンボラーメンの一気食いにチャレンジします。

 

2番目の霜月りさ子はシングルマザーになり、

彼女の息子のために細やかな置き土産を残します。

 

3番目の如月ユミはある計画に夢中で、

星野の別れ話もあっさりと了解します。

 

4番目の神田那美子は、がん検診の結果が気になっています。

 

最後の有須睦子に挨拶を終えた後、

繭美は取り引きを持ち掛けていくのでした。

 

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本を読んでみた個人的感想

大きな身体に高級海外ブランドのスーツを身に纏って、

ブロンドの髪を靡かせている繭美は異色のヒロインでした。

 

頭の中にぽっと思い浮かんだ言葉を目の前にいる人にぶつけていく様子からは、

空気を読み過ぎる今の時代の若い世代への痛烈な批判を感じました。

 

がさつな振る舞いや無神経な物言いに似合わずに、常時辞書を持ち歩き

必要なくなった単語をひとつずつ丁寧に塗りつぶしていく几帳面さには笑わされました。

 

ルーティンワークの如く星野を「あのバス」へと導きながらも、

次第に心の奥底に微妙な戸惑いが芽生え始めていくシーンが印象深かったです。

 

クライマックスで遠ざかっていくバスを傍観していた繭美が下した、

意外な決断にはホロリとさせられました。

 

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1番に良かったセリフや言葉

全編を通してユーモアたっぷりとした会話の中でも特に印象に残っているのは、

「来ない相手をずっと待っている寂しさに詳しいんだ」

というセリフでした。

 

同時期にお付き合いをしていかながらも、

どこか淡白で今時の草食系男子のイメージが強い星野一彦

優柔不断ぶりが伝わってくる言葉になります。

 

交際相手の女性たちも今をときめく女優さんから

某アニメに登場する3人姉妹の泥棒を思わせるキャラクターまで、

バラエティー豊かなラインナップで楽しかったです。

 

突然の別れ話を切り出されても愁嘆場を演じることなく、

全てを受け入れて新しい道のりを歩んでいく決意が美しさ溢れていました。

情けない役割だった星野も、ただ1度だけ男気溢れる姿を披露していました。

 

まとめ

恋人や夫婦を始めとする大切な人との関係性に思い悩んでいる皆さんには、

是非とも手に取って頂きたい小説だと思います。

 

電子書籍や携帯小説よりも、

昔ながらの紙の本に愛着のある方たちにもお勧めな1冊になっています。

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