同い年の仲良しがいました。
家も近所で、親子でよい付き合いが出来ていると思っていました。
しかし、東日本大震災があり、彼女の夫の実家が根こそぎ津波で持っていかれ(ご家族は無事でしたが)、いろいろなことが変わってしまったのです。
いろんな感情がむき出しになってきた
私たちが住んでいるのは関東で、直接の被害はなかったものの、彼女の夫の実家が根こそぎやられてしまい、彼女自身もその心労でいろいろと不安定になってしまいました。
子供もその余波を受けて沈みがちになっていたので、私や親しい人たちは何となくケアをするようになっていたのです。
そんなころ、彼女の周りが少しずつ変わってきました。
話をしていても、私の知らない他の友達をやたらと紹介しようとしたり。
また、料理を作るから自宅ランチしない?とお誘いが増えてきたのです。
忙しかったので、数回に一回の割で彼女の家にいってお茶をするくらいのことはしていましたが。
その時に、いろいろなクリームやローションの試供品を貰うようになったりして。
パッケージにある商品のロゴを見て、これはまずいな、と気づいたのです。
有名なマルチ商法の商品だった
それは、有名なマルチ商法のブランドの商品でした。
恐らく彼女は古参の会員だったのだと思います。
しかし、私はその会社が大嫌いだったので(親戚に愛用者がいてしつこい勧誘が煩くて一家で縁切りした過去があったのです)、彼女がそれを愛用しているとか云々を知らずに「私はその会社が嫌い!」と言っていたのです。
それまでは、彼女とその会社の関係も知らなかったし、彼女も私の事情を知っていて、その会社のことを出すこともありませんでした。
しかし、その時期から、いろいろとあからさまに勧誘するようになってきたのです。
自宅に呼ばれたのは、いわゆる『鍋パーティ』というやつです。
その会社の鍋や調理器具をつかって『こんなに美味しいものが作れますよ!』という勧誘戦略です。
ああ、もう無理だ、と思って、それまでの付き合いはとても大切な思い出でしたが、バッサリ切りました。
それ以降も『カラーリストの講習会をするから来ない?』とか『お友達の素敵なお家でパーティをするの、私も料理するのよ?遠慮のいらない人たちだから参加しない?』と毎週のようにお誘いが来ました。
共通の友達に探りを入れると、同様のメールに困惑しているている人が多数。
どうも、マルチでも結構な上位に食い込んでいるらしく、急激に変貌していったようなのです。
お金・お金・お金!!
どうも、彼女は夫実家の再建のためにお金が必要だから、ということでマルチの活動に拍車がかかっていたようなのです。
もともとそういう才能があったのか、めきめきと実績をあげて、組織の中央にいるマダムたちに気に入られて、思考が似ている私にもそのビジネスパートナーとして一緒にやらせたかったようなのです。
さりげなく誘われた時には「いや、私はその会社は好きじゃないから」ときっぱり言ったのですが「そうか、貴女はまだ本当の〇〇を知らないのね!じゃあ、今度ちゃんと話をさせてねー」とニコニコして言われた時には(もうダメだなぁ)と思ったものです。
お金は、人を変えてしまうんだなぁ、と思ったのが本当に哀しかったし、怖かった。
素敵な、大切な友達を、私は失ってしまったのです。
まとめ
お金は、人を変えてしまいます。
マルチ商法はその人間関係を引っ掻き回しておかしくしてしまうのです。
ひと瓶28,000円の化粧品を、普通の主婦が買えるわけがない。
でも会員になったら、他の人を勧誘したら半額で買えるのよ?と言われて素直に従えるわけもない、ということに何故気づかないのか。
私だってお金は欲しいけれど。それで友達は売らないよ、と今でも思っています。
あれから数年。時折聞こえてくる噂はあまり褒められたものではありません。
でももう関わることはないでしょうが。
昔の彼女はとても素敵な人でした。それをあそこまで変えてしまったマルチが憎い。
私はその会社を前の数倍嫌いになったのは、言うまでもありません。