中学校の運動会に、組み体操はつきものでした。
と言うより、運動会の花形種目でした。
うちの息子は、その組み体操の練習中に、相手の同級生に体を支えてもらい、自分の手を大きく広げて体を持ち上げる種目をしていました。
ところが、相手の同級生がよろけてしまい、息子は地面に落下しました。
その時、着いた腕が痛いということで、教頭先生から電話が入り、市民病院の救急外来で待ち合わせることになりました。
レントゲンとMRIの撮影の結果、ヒジの部分で骨折していることが判明したのです。
学校の判断と対応は、少し意外でした。
救急外来に、オンコールで呼び出された整形外科の先生は、親と保健体育の先生の前で、骨折について説明してくれました。
驚いたことに、
「こんな骨折する子が後を絶たないから、私は組み体操を辞めるべきだと、以前から申し上げているのです。
先生は、校長先生に、この話をしっかり伝えてもらえますか?」
と整形外科医は、強い口調で保健体育の先生に話されました。
私としては、組み体操に対する風当たりが強くなってきているとの認識はありましたが、その当事者になって、言葉を失いました。
診察室を出て、保健体育の先生は、謝って来られましたが、かと言って、運動会の花形種目を中止してくれと、学校に求める気にはなりませんでした。
結局、
校長先生の判断にお任せします
別に学校を訴えたりするつもりはありません
とだけ伝えました。
三日後、担任の先生から電話があり、
「組み体操は、予定通りやらせて下さい。
息子さんには、組み体操中のナレーターを務めて貰おうと思います。
先程、息子さんとも話、了承をいただきました。」
というものでした。
私は正直、嬉しかったです。
- 学校が外部の圧力に負けず、予定通り組み体操を実施すると決断されたこと。
- 息子には、骨折して腕を三角巾で吊っている状態でも、マイクを通して、活躍出来る場を作ってくださったこと。
- 学校としての方針を明確に示してくださったこと。
運動会当日、息子は生き生きと組み体操のナレーションを放送していました。
しつけの責任者はあくまで保護者
不当な要求をする保護者の存在は、ニュースで聞く程度の、遠い存在でした。
しかし、整形外科の先生の一言を聞いた時、ここぞとばかり、学校にクレームを言い続ける保護者が、全国にはたくさん居るのだろうと想像しました。
私が感じたのは、
学校としての方針を明確に示し、貫き通す強い意志があれば、不当な請求をする人も減っていくのではないか
と言うことです。
いじめ問題が市内の中学校で起こった時も、市のPTA連絡協議会の校長先生が書かれた緊急アピールの原稿にはこう書かれていました。
「子供のしつけの責任者は、保護者である。」
このように、信念を持って教育の現場で闘ってくださる先生達が、我が街にはたくさんいらっしゃる。
そう感じています。
まとめ
先生と保護者の関係を、考えさせられる事故が起こってしまいました。
自分の子供が骨折したことは、非常につらかったです。
しかし息子も強い気持ちでナレーターを引き受け、正々堂々ハキハキとした様子で、とてもうれしく、誇りに感じました。
他の生徒や保護者の皆さんが楽しみにされていた、中学校運動会の組み体操が中止にならず良かったと思っています。
学校の教育方針もハッキリわかり、我が家も満足のいく運動会に終わりました。