医療事務は人気職種だと友人から聞いたことがある。
デザイン関係を目指していた私は夢破れて手短なアルバイトとして薬局医療事務を選んだ。
理由は簡単。
たまたま見ていた求人広告に「初心者歓迎!パソコン入力できたら大丈夫です」この文字とともになかなかの時給。
ただそれだけ。
自分が望んでいた仕事ではないので、「ま、ひとまず」という軽い気持ちで始めたわけだが、まさかここから十年も続けることとなるのはこの時の私は全く考えてもいなかった。
医療事務をしていると友人に話すと決まって「手堅いね。」「楽そう!」と。
ほんと、女の園だし、病気も感染るし、いいことばかりじゃないと言いたい。
医療事務だって、なかなかしんどいのだ。
勤務形態あるある。主婦パート強し
二十歳そこそこの社会人経験の浅い私が入った薬局は完全個人の小さなところだった。
保険の割合すらわからない当時の私は、管理薬剤師(店長みたいな存在)から一から十まで教えていただくこととなる。
若かったゆえに、知らないことがあっても許されたと思う。
個人薬局にはだいたい主婦のパートさんがいて、その人が「朝しか入れません〜」なんてケースはザラである。
フリーターの私はもちろん夜勤務になる。
朝に入ることもできない。
勤務時間も制限されるし、朝の時間が勿体無いなぁと本当はあまり良くないんだろうけど、管理薬剤師に相談してもう一つ違う薬局を掛け持ちすることになる。
そっちはチェーン店でかなり大きな薬局だったので、朝だけでもいいと言ってくれた。
小さいところほど少人数で経営しているので、どうしてもシフトに対しても多少シビアな部分が多いと思うし、フリーターが夜に回るのは致し方ないのが実態。
女の薬剤師(管理薬剤師)は強い。
チェーン店での管理薬剤師は26歳の女薬剤師だった。
若くしてプレッシャーのかかる立ち位置を任されてしまった彼女は、何も知らず、社会人経験の浅い私に対してあからさまに苛立ちを見せてきた。
「今聞きに来ないで!」なんてことは日常茶飯事で。。。
もちろん、聞くタイミングは重要だし、それによってミスが起こってはいけない。
そりゃそうだ。
がしかし、わからないまま突っ立っているわけにもいかない。
この状況で「早く入力して!」なんて言われるもんだから、こっちとしても納得がいかない。
そのうちその上司はヒステリックを起こすようになり、糊や物差しが飛んでくるように。
もちろん身体に当たることはないが、ただただ見ていてかわいそうになってきた。
「しんどい立ち位置だものね、仕方がない。」そう思うようにした。
腹は立ったけども。笑
患者さんの「ありがとう」が嬉しい
病気の方しかほぼ来ないといっても過言じゃない職場。
中には長く薬や病気と付き合わなければならない人もいたが、長年悩んでいた症状が改善されたり、風邪が治ったりして「良くなってうれしいわぁ〜」なんてにこやかに帰っていかれる方などもいて、全くもって何もしていないのは百も承知だが、少しは役に立てた気になって嬉しかったことを覚えている。
また、私の顔や名前を覚えてくれる方などもいて、「貴方の笑顔を見ると、なんだか元気がでるわぁ」なんて言ってくださる方もいて、ただのうのうと生きていただけの二十歳そこそこの私にとったら、「社会って悪くないな」なんて大げさながら思ったものだった。
たまに男性のおじさまから電話番号を渡されたのは、大変困った。
まとめ
仕事内容のハードさは、完全どこに務めるかで雲底の差がある。
忙しいところへ行こうが、暇なところへ行こうが、それほどお給料にも差がないのが現実。
ただ、実績や経験を積んでおくことで、次の職場へ移る時に有利になる。
あと、続けておくことで確実に給料の交渉もできたりする。
あとはなにより、やれば覚えられるような仕事内容だとも思う。
さほど難しいこともないので、ある程度仕事に対してきちんとやる気がある方なら大丈夫だと思う。
一番は人間関係かもしれない。
そこそこうまくやっていくために程よい距離感を保つことがキモです。