息子が通っていた高校では、三年生の運動会に全員で浴衣をあつらえて踊ります。
部活で揃えて名前を入れて作るのが伝統の部活もあれば、量販店の通販で人数分まとめて頼む、というリーズナブルなところまで様々でしたが。親たちもみな楽しみにしていて、決まるまでそれぞれ相談したりして、その時期を待ってたのでした。
やっと浴衣が届いたのに
4月の都大会の日、親たちも会場の高校に応援に行きました。
親たちは浴衣に関してあれこれ情報を持ち寄って昼食休憩などに子供たちを交えて相談し、あれこれ悩んだ結果、通販サイトのものに決定。
「楽しみだねぇ」と話をして、その到着を待ったのです。
顧問の先生も「この頃は部によってはちょっとお金をかけすぎる傾向にあったので、お手ごろで良いのがみつかって良かったです!」とおっしゃって、まぁ丸く収まったかなと思っていたのです。
息子たちの試合の結果はそこそこでしたが、練習した分の成果は出せたし、失敗もナシ。三年生はこれで引退、お疲れさま!ということで、みんな楽しく過ごせてほっとして帰路に就いたのです。
そして数日後に浴衣が届いたので、学校にいる息子にLINEを入れたら、
「なんか、俺、体育祭出られなくなりそう…」という返事が返ってきたのです。
関東大会、繰り上げ出場???
息子は個人戦で出場したのですが。その上位入賞の選手が辞退したとかで、関東大会に出られることになった、というのです。
しかしそれがまさに体育祭の当日だったのです。
大会に出ようとすると、体育祭には出られないことに。
会場は新幹線の距離で、土日含めて一泊の旅程となります。
おめでとう、と言ってあげたいけれど。同じくらい
『残念、なんでこの日…?』と思ってしまいました。
彼の部活の子たちは本当に仲が良くて、三年生の浴衣はとても楽しみにしていたので、その場に彼がいられないということが、嬉しいという気持ちと同じくらい残念に思えてしまいました。
しかし、部活の子たちはみな「すごーい!」と喜んでくれたのです。
息子の分までちゃんと頑張るから、関東大会に全力で臨んで!という後押しを頂いて、その日、息子は顧問の先生と一緒に会場に向かいました。
予選突破はなりませんでしたが、充実した時間を過ごしたようです。
彼が帰宅した時に見せてくれたのは会場で撮った写真と、同時に部活のみんなから贈られてきたそろいの浴衣の記念写真でした。
そこにいたかったんだろうな、と思うと寂しさがこみ上げてきましたが。彼自身がさばさばした表情でいてくれたので、色々な意味で「お疲れ様」と言ってねぎらったのです。
引退した、そのあとで
息子たちは、体育祭で完全に部活を引退するのですが。それからほどなく開催された土曜日の授業参観と保護者会の日に
「息子くんと一緒にみんなで浴衣の写真を撮ろうよ!」
という話がLINEでまわってきたのです。
三年生が、わざわざ全員浴衣をもって再度集まってくれるというのです。
土曜日の昼過ぎ、みんな受験が始まって忙しいだろうに、親御さんたちもみな
「どうせ学校に行くし、もうみんな全員が揃うことも難しいかもしれないから、写真がゆっくりとれるのは嬉しいよね!」と言ってくれて、全員が集まってくれたのです。
顧問の先生も「一人のためにこんな風に集まってくれるのって、凄いです。この学年は本当に仲が良いくて、みんな素晴らしい!」と言ってくださり、親たちと一緒に写真を撮りまくってくださいました。
今でも、その写真を見ると嬉しかった気持ちが思い出されます。
まとめ
出られなかった運動会は、本当に残念でしたが。息子とその仲間たちにとっては大切な思い出が出来ました。
高校を卒業して、いろんな大学に分かれてしまったかれらですが、今でも仲良く付き合っていて、時折集まって飲むようになりました(全員成人しています)。
そして、当時知らなかったことですが。一緒にツーショットの写真を撮っていた女子生徒が、その前からずっと付き合っていた彼女だったらしいのです。
交際歴4年。かわいい子だったので、これから先も振られずに続いてくれよ、と母はその時の写真を眺めて思うのです。