平成初期に勤めていた会社の上司は、モーレツ社員の亡霊のような仕事の仕方をしていました。
リゲインの『24時間働けますか?!』を地でいっちゃう感じ。
そして、苦労人とか、お涙頂戴的な経歴の若いやつがお気に入りで、
大卒の私たちに対してはめちゃめちゃ理不尽で厳しかったのです。
『あいつは苦労してるんだから』知らんがな!
バブル末期のIT企業で、昭和のモーレツ社員の亡霊を背負って仕事をしている上司Fがいました。
- 徹夜とか大好き!
- スケジュールをむりくり詰めて、設計書などの提出前日は徹夜!
ということに周囲を巻き込んで、お祭りみたいに仕事をするのが大好きなおっさんでした。
その彼の困ったところは、自分が「母子家庭で、学歴が無くて苦労してきた」という良く解らない理由で、
夜学に通いながら働いている人(Kとします)をやたらと贔屓していたことでした。
Kはフレックスのコアタイムにもだんだん遅刻するようになり、周囲に迷惑をかけるようになったのに
『あいつは気の毒なんだよ、苦労してるんだから、理解してやれよ!』
と言って無罪放免。
しかも客先に直行することが多いので、実際にお客さんに迷惑をかけることになるのに、そんな屁理屈で周囲を黙らせていたのです。
正直、その間の仕事やお客様のクレームは私たちに回って来るようになりました。
それでも『あいつは苦労してるんだから』
...て、そんなことばっかり言われても、内心『知らんがな!』という言葉しか出てきませんでした。
ダブルスタンダードは許せん!
そんな風に、Kの遅刻や無断欠勤が続いたある日、私ともう一人の同格のスタッフが昼休みの途中まで客からの電話対応をしていて昼食に出るのが遅れて、
所属長(Fより上の人)の許可を得てランチに行って、きっちり50分で戻ってきた時にFが言い放ちました。
『おまえら、他の人(おそらく、当時増え始めた派遣会社からのスタッフに対して、ということを言いたいんだと思いますが)に示しつかないんだから時間守れよ!』
周囲はざわざわして、私たちが青筋立てたのが分かったようでしたが、F本人だけが気づいておらず。
さらに、Kはこの日もフレックスぶっちぎりで大遅刻してきていました。
なんだよ、そのダブルスタンダードは?!ということでもう我慢ならん、としてもっと上の上司に直訴したのですが。
上でもかなり問題視されていて、徐々にそのチームはばらされ、再編成の方向にもっていくから、と言われてこちらが矛を収めることになりました。
”鉄槌”が下されたのでヨシとしました
その後、KはFに引っ張り上げられるようにして同じチームで働いていましたが。
Fは自らの言動やKの様々な問題がなぜ悪いのかが最後まで分かっていなかったと思います。
Kは30そこそこで家を建てたり、ぶいぶい稼いでいることが自慢のようでしたが。
ハッキリ言って人望は全くなくしていて、しかもKは成長する気配もナシ。
私はその時点で人事異動でフロアが離れ、その後退職したのですが。
離職後に友人から貰った電話で
『あーーー…神様っているもんだなぁ』
と思ったのでした。
ぶいぶい稼いでいたはずのFは、仕事仕事で子供を遊びに連れて行くこともなかったのでなついてもらえず。
家にも居場所が減り、仕事が落ち着いても飲み歩いて深夜の帰宅というパターンが定着。
長年の無理がたたって30代半ばで肝臓を傷めて最前線から撤退せざるを得なくなり、残業代も減って、その分を見越して組んでいた住宅ローンが恐ろしいことになった、というのです。
まとめ
社会に出て「大人って理不尽な生き物だなぁ」と思わせてくれたFですが。
沢山の人の間でそういう理不尽な行いをすると、結局自分のところに見事に帰ってくるんだろうな、というのを実感した出来事でした。
昭和の亡霊さん、もうそろそろ定年退職する世代なんですが。
今どうしてるのかしら、と久しぶりに思い出しました。
でも、きっとモーレツ社員的な主義主張は変わっていないんじゃないかな、と思ってしまう。
そんな強烈なおっさんでした。