本屋の新刊コーナーにあって、ふっと手に取ったらとてもかわいらしい絵柄で、
しかも着物のセンスの良さがにじみ出るような作品だったので、つかみ買いしてしまいました。
普通の女の子が着物を着てお出かけする、そんな小さな非日常がとても素敵です。
季節ごとの装いを丁寧に描いています
着物には素材、色や柄で細かい不文律があります。
それが若い世代には面倒がられるゆえんでもありますが、主人公の”もも”は、亡くなったおばあちゃんの残してくれた形見の着物が大好きで、
その季節を楽しむこと、そしてコーディネイトを考えることが大好きな女の子です。
普段は会社に勤めるOLですが、
お休みの日になると着物を着てお出かけするのが楽しみ!
というそのライフスタイルは羨ましいほどオシャレです。
寝起きのぼさぼさの髪とゆるいパジャマから身づくろいを始めるプロセスは、読んでいるだけでわくわくしますね。
そんな彼女がお出かけする先は大阪に住んでいる彼女が日帰りで行けるところが殆どですが、すべてリアルな場所ばかりなのです。
京都の老舗喫茶店で
一話目で、ももが出かけて行ったのは京都にある六曜社珈琲店という老舗の喫茶店でした。
母親に「あんたわざわざ京都まで行くん?」と聞かれて
「だって~あそこの珈琲とドーナツがええねんもん」と答え、
モクレンの帯と淡い桃色に蝶々の模様の着物にすみれ色の帯揚げを選び、春らしい装いをこしらえて出向くのです。
綸子(りんず)というシルクに染めの蝶々模様。
これは春向きの、お出かけにぴったりなおすましなワンピースのような意味合いの着物なのだそうです。
カラーイラストでそのコーディネイトが紹介されていますが、それもとても『娘らしい』という雰囲気で好感が持てます。
彼女は、そこで素敵な男性に出会います。
食べたかったドーナツが品切れになってしまったのを、彼が譲ってくれたのです。
それは小さな恋の始まり、でした。
図書館に行くなら本の模様の帯
大阪にある中之島図書館は古い重厚な建物が有名で、よくドラマや映画のロケ地にも使われたりします。
借りた本の返却期限だから
と文学少女っぽい雰囲気のコーディネイトを考えるもも。
お気に入りの半襟をつけた襦袢、砂色の紬に、本をモチーフにした模様の名古屋帯、とシックな装いを考えています。
活発な姉は「喫茶店の君には会いに行かないの?」とももにはっぱをかけるのですが、
「私には私のペースがあるの!」というももは、その中之島図書館でまさにその彼と一瞬の再開を果たすのです。
とはいえ、すれ違いで、まだどこの誰ともわからないまま、物語は次の話へと進んでいくのですが。
ももは亡きおばあちゃんの言葉を思い出します。
着物は、着るだけで女の子を特別な存在にしてくれる、そんな魔法のようなアイテムなのだと。
まとめ
まぁ、漫画ですから、そんな都合の良い話はないわー、と思いがちですが。
こんなかわいい恋物語があってもいいよね、と。
少しずつ距離が近づいていき、言葉を交わすようになるももと喫茶店の君。
舞台が大阪なので、言葉が関西弁、その柔らかい語尾の雰囲気がまたとても良いなと思うのです。
仕事をするももと、着物でお出かけのもも。
そのギャップがまたよくて、ほんわかします。
これ、最近多い深夜枠のドラマにならないかなぁ、と思いながら二巻目をまっています。
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